ミュージカル版『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』あらすじ(ネタバレあり)
愛人の殺人現場を目撃
1977年のアメリカ・フィラデルフィア。
破天荒なデロリスは、クラブ歌手としてステージに立つのを夢見ている。
しかしデロリスの愛人でギャングのボス カーティスは、自分が経営するナイトクラブで彼女を歌わせてくれず、はぐらかすばかり。
しかもカーティスがデロリスにクリスマスプレゼントとして渡したのは、あろうことか自分の妻が着ていた毛皮のコート。
我慢の限界!とカーティスへ文句を言いに行ったところ、デロリスは、カーティスが部下を殺す場面を目撃してしまう。
それに気づいたカーティスは部下にデロリスを殺せ!と命じる。
逃げ込んだ警察でデロリスが出会ったのは、元同級生のエディ・サウザー巡査だった。
「♪天国へ行かせて(ナイトクラブVer.)/Take me to heaven (Night club)」
「♪私は伝説になる!/Fabulous,baby!」
身の隠し場所は修道院
デロリスは重要参考人として匿われる事になり、エディがデロリスの隠し場所として選んだのが修道院だった。
信仰とは無縁のデロリスが修道院に潜んでいると一体誰が想像できるだろうか?これ以上完璧な場所はなかった。
修道院のクイーン・オブ・エンジェルス教会で、デロリスはシスター・メアリー・クラレンスとして過ごすことになる。
「♪シスターになるのは素敵/It’s good to be a nun」
世俗的な世界にいたデロリスにとって、欲を捨て敬虔に神に仕えて生きる修道院はまるで異世界。
修道院での堅苦しい生活になじめないデロリスに対し、デロリスを引き受けることにした厳格な修道院長も、彼女の世俗的な価値観がどうしても受け入れられない。
修道院を抜け出しバーへ
デロリスは修道院の目の前にバーがあると聞き、抜け出してバーへ行く。彼女の後を追い、シスター・メアリー・ロバートとシスター・メアリー・パトリックもバーへ。
デロリスはバーで大好物のチーズステーキを注文する。
ちなみにチーズステーキとは、炒めた薄くスライスした牛肉と溶けたチーズをロールパンに詰めたサンドイッチのこと。アメリカの代表的なファ―スフードのひとつ。
シスターということで特別扱いされ、バーにいるお客さんたちはシスターたちに奢りたがる。
デロリスについてきたシスター・メアリー・パトリックは、ジュークボックスをみて大はしゃぎ。
そこへ突如、カーティスの部下たちがバーへ入ってくる。
慌てて2人のシスターを連れ、修道院へ戻るデロリス。
そこへ待ち構えていた修道院長。
修道院長に叱責を受け、ある命令を受ける。その命令とは・・・
修道院の聖歌隊に入る
修道院長の言いつけにより聖歌隊に入ったデロリス。
歌手のデロリスは大喜びしたが、シスターたちの歌を聴いて愕然とする。
下手くそなのだ。
しかし、歌手のデロリスの指導により、シスターたちは歌が上手になる。
怖がらずに思い切って声を出して!とデロリスはシスターたちへ心強いメッセージを伝える。
「♪さあ、声を出せ!/Raise your voice」
内向的で小さな声しか出せなかった、シスター・メアリー・ロバートが高らかに歌いだす瞬間は、映画と同じ感動的な場面。
自分を解放し自分を信じる喜びを見つけるシスターたち。
教会はサンデー・モーニング・フィーバー
生き生きと歌うシスターたち「♪天国へ行かせて(シスターver.)/Take me To heaven (Reprise)」は、人が訪れなかった教会に人を呼び、寄付まで集まるようになる。
サタデー・ナイトフィーバーならぬ、サンデー・モーニング・フィーバーに沸く教会。
「♪日曜の朝のフィーバー/Sunday morning fever」
教会は財政難でデロリスが来る前は、アンティーク商に買い取られる話が出ていたが、シスターたちの歌を聴いたアンティーク商は逆に教会へ寄付する。
複雑な気持ちの修道院長
人々を感動させるシスターたちの讃美歌だが、素直に喜べない修道院長。
なぜなら、歌がとても「世俗的」だから。
何せ「天国へ行かせて」などとシスターが歌うのだ。
私たちは世俗の楽しみを捨て、敬虔に神に仕えている身なのに。
デロリスを叱責する修道院長。しかし修道院長をオハラ神父がいさめる。「私はこの曲が好きだ」と。
居所がばれるデロリス
聖歌隊が評判になり、ローマ法王がクイーン・オブ・エンジェルス教会を訪問することになった。非常に光栄なことで歓喜に沸くシスターと修道院長。
法王がくる目前、緊張で眠れないシスターたちがデロリスのベッドへやってくる。
そこでシスターたちの気持ちを落ち着かせるデロリス。
「♪私たちのショーに祝福を/Bless our show」
デロリスとシスターたちは心を暖かく通わせる中になっていた。
しかしテレビの取材が入ったことで、デロリスが修道院にいる様子が放映され、カーティスたちに居所がばれてしまう。
ギャングの襲撃を予測したエディは、法王がくる前日にデロリスを修道院から移動させる。
デロリスの想い、シスターたちの想い
エディに身を匿われたデロリスだが、修道院から離れてみると、シスターたちの事が気になって仕方がない。
法王の前で歌うこと不安を覚え、デロリスを頼っていたシスターたち
何度も何度もシスターたちが頭に浮かんでくる。
「♪シスター・アクト(リプライズ)/Sister act(Reprise)」
法王が訪問する当日、デロリスはみんなの元へ戻る。みんなを見捨てることはできない。
しかし、デロリスの存在はシスターたちを危険にさらすという事で、修道院長は大反対。
ここで、内気で自分の意志を口にした事がなかったシスター・メアリー・ロバートが、修道院長に「いやです」と口答えをする。
「♪私が生きてこなかった人生(リプライズ)/The life I never led (Reprise)」
他のシスターも想いは一緒だった。
デロリスを真っ先に守ろうとしたのは・・・
そこへ訪れるカーティスの部下3人。
しかしおバカトリオなので、シスターたちにあっさり撃退される。
一筋縄でいかなかったのが、ボスのカーティス。
シスター・メアリー・ロバートを人質にデロリスを引きずり出し、銃を突きつける。
その時、真っ先にデロリスをかばったのは、デロリスと対立し、デロリスが修道院から早くいなくなれば良いと願っていた修道院長だった。
そして、つぎつぎとシスターたちがやってきて、カーティスとデロリスの間に身を盾にしていく。
高まる緊張感・・・
そこへエディ巡査の銃声が響き、カーティスは逮捕され、デロリスとシスターたちは救われる。
うまくいった後、デロリスと修道院長の間で、交わされる会話。
修道院長:「神の御業なのでしょう…」
デロリス:「人と人との繋がりによるものでしょう」
修道院長:「もしかしたらそれは同じなのかもしれませんね」
「♪愛を広めよ/Spread the love around」
「♪さあ、声を出せ!(フルカンパニーver.)/Raise your voice(Full company)」
最後はやはりシスターとデロリスたちの歌でしめくくり。
ここに待ちかねていた法王が登場します。
法王登場シーンは舞台をみてのお楽しみ
『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』ミュージカルと映画の違い
『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』は、映画『天使にラブ・ソングを…』のストーリーとほぼ同じですが、異なる点もあります。
細かい点はいくつかあるのですが、大きな違いを取り上げます。
時代設定
映画『天使にラブソングを・・・』は、作品が公開された90年代が時代設定。
ミュージカルは70年代の話です。
音楽
時代設定の違いにより、音楽も変わります。
映画版の音楽を担当したのは、ミュージカル『ヘアスプレー』の音楽を作曲したマーク・シャイマン氏。
映画『天使にラブソングを・・・』では、
- 60年代にヒットしたモータウン・ミュージック(モータウンレコード社が流行させたポップな黒人音楽)
- Hail Holy Queen、Crown Him with Many Crownsなどの讃美歌
などをそのまま使ったり、またはアレンジして使われていました。
【映画】天使にラブ・ソングを…1で使用された曲一覧♪讃美歌や60年代ヒット曲など
一方、ミュージカルは時代設定を70年代にしたことで、ディスコミュージックの要素を取り入れた楽曲で構成されています。
ディスコ、サイケデリックなソウル、ファンクといった構成で楽曲を全て書き下ろしたのが、ディズニー作品でおなじみのアラン・メンケン氏です。
アラン・メンケン氏は私も大好きな作曲家の一人ですが、『ノートルダムの鐘』の作曲家と、『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』が同じ人間が作曲したとは思えないw
ミュージカル版の楽曲を一部、東急シアターオーブの公式サイトで公開しているので、ぜひ聞いてみて!
https://theatre-orb.com/lineup/17_sister/music.html
エディのキャラ設定
エディは、映画では「デロリスが駆け込んだ交番にいた警官」という位置づけ。マフィアのボス、ヴィンス(ミュージカルでカーティスに当たる人物)とその一味を追っている警官ですが、特にデロリスと過去に関係のあった間柄ではありません。
一方、ミュージカルでは、デロリスとエディは高校時代の同級生で、エディはデロリスに想いを寄せていたという設定です。
そのため舞台では、デロリスへの好意がちょこちょこ見えます。また「汗っかきエディ」と呼ばれ、汗でドジを起こすなど愛すべき一面もみられます。
きねちゃん
ストーリーもわかりやすいので、ミュージカル初心者も楽しめます☆