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パガニーニを弾く現代のギタリストたち

悪魔のヴァイオリニストと呼ばれるパガニーニのフレーズや演奏スタイルは、ヴァイオリニストだけでなくギタリストにも大きな影響を与えています。

実はパガニーニ自身すぐれたギタリストでもありました。愛人がギターを演奏していたので、付き合い中にパガニーニ自身もギターに没頭したのだとか。

パガニーニのヴァイオリンが左の手指で弦をはじいたりフラジオレットを弾いたりとギター的といえる奏法が使われているのは、自身がギターについてよく理解していたためかもしれませんね。

ここではパガニーニを弾く現代の有名ギタリストを紹介します。

イングヴェイ・マルムスティーン(Yngwie Malmsteen)

「速弾きギターの革命児」イングヴェイ・マルムスティーン。7歳の時ジミ・ヘンドリックスの追悼番組でロックに目覚め、その後ディープ・パープルのリッチー・ブラックモアに心酔。バロック音楽にも親しんでいたイングウェイは、旧ソ連のヴァイオリニスト、ギドン・クレーメルが演奏したパガニーニの「24のカプリース」を聴いて「卒倒するほど衝撃を受けた」と語っています。1日10時間以上、地下室にこもり練習を続けたイングウェイはロックの迫力とクラシックのメロディーを融合した”ネオクラシカル”と称される彼のスタイルを確立します。

Yngwie Malmsteen – Paganini 4th violin concerto/ヴァイオリン協奏曲4番第1楽章

Yngwie Malmsteen – Wolves At The Door (Lyric Video)より/『24のカプリース』第24番

2021/7/24発売の新作アルバム『Parabellum(パラベラム)』のWolves At The Doorより。2:59~ パガニーニの『24のカプリース』第24番が組み込まれています。


Parabellum -Box Set/Ltd-

イングウェイは2000年リリースの「PROPHET OF DOOM」(アルバム「War to End All Wars」にも『24のカプリース』第24番を入れています。

ジェイソン・ベッカー(Jason Becker)

音楽史上もっとも偉大なギタリストと知られているジェイソン・ベッカー。筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘い続ける早熟の天才ギタリストです。5歳からギターに親しみクラシック好きだったジェイソンはパガニーニやバッハ、モーツァルト等を弾くほか、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ヴァン・ヘイレン、ウリ・ジョン・ロート、イングヴェイ・マルムスティーンなどをコピー。17歳で、現在日本を拠点に活躍中のマーティ・フリードマンとのユニット、カコフォニーでデビューし、超絶技巧の速弾きとクラシカルな音楽を本格的に取り込んだ奏法で称賛を受けます。

カコフォニー解散後、元ヴァン・ヘイレンのデイヴィッド・リー・ロスのバンドに加入するもののアルバム制作中にALSを発病。将来を期待されこれからという時、医師から余命3~5年と宣告を受けてしまいます。しかし30年以上に渡り闘病しながらソフトウェアで目を使い作曲活動を続けています。

Jason Becker – Paganini’s 5th caprice Electric guitar/『24のカプリース』第5番


18歳のジェイソン・ベッカー

Paganini’s 24th Caprice (16 yrs old)/『24のカプリース』第24番

アルバム「Boy Meets Guitar – Volume 1 of the Youngster Tapes」より。このアルバムはアマゾンで偶然見つけたのですが、恐らくジェイソン・ベッカーが10代の頃の音源が収められたもの。タイトル通りとすれば、パガニーニの24のカプリースNo.24を弾いたのは16歳です。

アマゾンで試聴可能↓


Boy Meets Guitar – Volume 1 of the Youngster Tapes

スティーヴ・ヴァイ(Steve Vai)

グラミー賞を受賞者。6歳でオルガンを始め、10歳~13歳の間アコーディオンを演奏。ギターを始めたのは13歳からでした。バークリー音楽大学在学中、耳コピでフランク・ザッパの楽曲を完全コピーしたことでフランク・ザッパの目にとまり、彼のバンドで採譜(曲を譜面に起こす)担当に抜擢。1980年代にはザッパのバンドにギタリストとして加入し、作曲者ザッパの演奏不可能なパートを受け持つことになりました。バンドを脱退後は、アルカトラス、デイヴィッド・リー・ロス・バンド、ホワイトスネイク等のスーパー・バンドのギタリストとして活躍。90年代に入りソロ活動に専念してからはグラミー賞3度の受賞に加え9度もノミネーションされるなど驚異的な成功を収めてきたギタリスト。

テクニカルとパフォーマンスに優れたギタリストで、魔術的に思えるスティーヴ・ヴァイのアームプレイは、パガニーニの演奏も当時の人はこんな感じで見えたんじゃないかなと思います。

Steve Vai – Paganini 5th Caprice (Crossroads) – Blindfolded Cover/『24のカプリース』第5番 (目隠し演奏)

Steve Vai vs Ralph Macchio Epic Guitar Battle/映画「クロスロード」より 『24のカプリース』第5番 

映画「クロスロード」のギター対決。悪魔の手先扮するスティーブ・ヴァイがパガニーニの「24のカプリース第5番」を弾く主人公演じるラルフ・マッチオに敗れるシーン(3:40~)。本人役はもちろん相手役のギターもスティーブ・ヴァイの吹き替えによるものです。

ウリ・ジョン・ロート(Uli Jon Roth)

その風貌から日本では「仙人」と呼ばれるウリ・ジョン・ロート。イングヴェイ・マルムスティーンに大きな影響を与えたギタリストです。元スコーピオンズ、エレクトリック・サン。スコーピオンズ加入時のウリは速弾きを一切行わないギタリストでしたが、スコーピオンズ脱退前から速弾きが徐々に増えます。スコーピオンズ脱退後、ヴァイオリンのような高い音を得られるギターとして「スカイ・ギター」を開発。ジミ・ヘンドリックスを崇拝していますがクラシックを自身の音楽ルーツと語っています。ヴァイオリニストのヤッシャ・ハイフェッツ、ナタン・ミルシテイン等からも影響を受けているのだそう。

ULI JON ROTH [ PAGANINI PARAPHRASE ] /『24のカプリース』第5番

キコ・ルーレイロ(Kiko Loureiro)

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドANGRAのギタリストとしての活動が有名。両手タッピングの名手として知られています。11歳の時アコースティック・ギターのレッスンを受け始めます。1992年ANGRAに加入。ANGRAのデビューアルバム「ANGELS CRY」は日本でもゴールド・ディスクを獲得するほどの人気でした。タイトル曲「ANGELS CRY」はパガニーニの『24のカプリース』第24番が組み込まれています。

Angels Cry – Angels Cry (1993), Angra./『24のカプリース』第24番

「ANGELS CRY」の4:18~よりパガニーニの『24のカプリース』第24番

村治佳織(むらじ かおり)

日本のクラシック・ギタリスト。3歳からギターの手ほどきを受け、数々のコンクールで優勝。15歳でアルバム「エスプレッシーヴォ」でCDデビュー。2003年、英名門レーベル「デッカ」と日本人初の長期専属契約を結ぶ。以降、数々のアルバムを発表。出光音楽賞を最年少で受賞。翌年には村松賞を受賞。

kaori muraji – 村治佳織 – Paganini – Caprice Op. 1-24/『24のカプリース』第24番