2006年公開の映画『幻影師アイゼンハイム』(原題:The Illusionist/イリュージョニスト)。
2021年1月後半東京・日生劇場でミュージカル上演されるので、動画配信を探したのですが、『幻影師アイゼンハイム』の配信がなく、DVDをレンタルしてみました。(ブルーレイもなし)
きねちゃん
・・・が、映画で出てくるレオポルドは冷酷で残虐。
ルドルフの性格まるごとではなく、彼の持っていた思想や立場をモデルにした人物のようです。
映画『幻影師アイゼンハイム』DVDレンタル
私は家の近くにツタヤの店舗があったので、久々会員になってDVDを借りました。
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私はミュージカルをみる前に映画をみましたが、ミステリー、サスペンスの類なので、ネタバレを避けたい方は、ミュージカルを観劇してから映画をみた方が良いです。
映画『幻影師アイゼンハイム』基本情報
タイトル:幻影師アイゼンハイム
原題:THE ILLUSIONIST
製作年度:2006年
原作:スティーヴン・ミルハウザー作『幻影師、アイゼンハイム』
(「バーナム博物館」の中の短編。「バーナム博物館」のバーナムは映画「グレイテスト・ショーマン」のP・T・バーナム。)
上映時間:110分
監督・脚本:ニール・バーガー
製作総指揮:ジェーン・ガーネット トム・ヌナン テッド・リーボヴィッツ ジョーイ・ホーヴィッツ
音楽:フィリップ・グラス
第79回アカデミー賞で撮影賞にノミネート
10の短編をつづった「バーナム博物館」の中の1つが、「幻影師、アイゼンハイム」
登場人物&キャスト
役 | キャスト |
---|---|
アイゼンハイム=エドゥアルド・アブラモヴィッチ | エドワード・ノートン |
ウール警部 | ポール・ジアマッティ |
公爵令嬢ソフィ | ジェシカ・ビール |
皇太子レオポルド | ルーファス・シーウェル |
興行師フィッシャー | エドワード・マーサン |
ヤルカ | ジェイク・ウッド |
ウィリグート | トム・フィッシャー |
若きアイゼンハイム | アーロン・ジョンソン |
若きソフィ | エレノア・トムリンソン |
医者/老紳士 | カール・ジョンソン |
『幻影師アイゼンハイム』あらすじ(ネタバレなし)
家具職人の息子エドゥアルドは、道で旅の途中の奇術師に出会い、彼の技に魅了される。
ある日エドゥアルドは公爵令嬢ソフィと出会い、二人は惹かれあう。
身分の違いから周囲に会うのを禁止されるが数年に渡り内緒で密会を重ねていた。しかしそれがみつかり、二人の仲は引き裂かれる。
失意のエドゥアルドは村を去り、遠く東洋まで旅をする。旅の途中で技術の技を磨き、名をアイゼンハイムとかえて彼はウィーンへ戻ってきた。
アイゼンハイムのステージは芸術的と評され、多くの人に支持される。
ある日、オーストリア皇太子レオポルドが婚約間近のソフィと伴にアイゼンハイムの公演にやってきた。ソフィはアイゼンハイムと惹かれあった、あのソフィだった。
レオポルドはアイゼンハイムのイリュージョンの仕掛けを見抜こうと、宮廷に彼を招く。
しかし技を見抜けず、逆に恥をかかされたと思い、アイゼンハイムを潰せとウール警部に命じる。
アイゼンハイムに注意を促すためソフィは彼の家にやってくる。
愛を確かめあう二人。
ソフィは残忍で傲慢なレオポルドから逃げ出したかった。
しかしレオポルドはハンガリー人の後ろ盾てで皇帝になろうと計画し、ハンガリー人に人気の高いソフィとの結婚を望んでいた。ソフィは彼の計画の一部だった。
レオポルドから逃げられないとつぶやくソフィ。
アイゼンハイムとソフィは駆け落ちを計画する。
ソフィはレオポルドに婚約しないと告げる。
怒り、剣を片手にソフィを追いかける皇太子。
翌日、ソフィは遺体となって発見された。
逮捕されたのは、とある男だった。
アイゼンハイムは納得できない。町の人々も皇太子が殺したのではないかと噂する。
しばらくしてアイゼンハイムは劇場を買い取り、亡くなった人を呼び出す新作公演を始めた。
大きな話題になり、アイゼンハイムの信者になる人もでてきた。
ある日、アイゼンハイムはソフィの霊を呼び出す。
騒ぎになる劇場。
ウール警部は皇太子から命令され、アイゼンハイムを逮捕しようとする。
しかし自分で手品もするウール警部はアイゼンハイムに好意をもっており、徐々に真相に近づいていく。
ミルハウザー原作の短編小説『幻影師、アイゼンハイム』には、映画に登場する皇太子レオポルドはでてきません。また小説ではアイゼンハイムが求愛するソフィ―という女性が出てきますが、映画とは設定が異なります。
ルドルフ皇太子がモデルのレオポルド
映画『幻影師アイゼンハイム』はフィクションですが、世紀末のハプスブルク家の史実に少しリンクしています。
皇太子レオポルドは、マイヤーリンク事件のオーストリア皇太子ルドルフがモデル。
映画でレオポルドの部屋へ続く廊下に鹿のはく製が多く飾られているのも、狩猟の館だったマイヤーリンクを彷彿させます。
ルドルフだけでなく、公爵令嬢ソフィにルドルフの母エリザベートを投影させていたり、父のフランツ・ヨーゼフ一世の肖像画が出て来たりと、『エリザベート』好きの管理人にとっては興味深い描写があちこちと。
ただ、人物像としてはルドルフはレオポルドのように暴力的ではなく、繊細で愛情に飢えた人だったはず。
恐らくですが、この映画では、ルドルフが持っていた思想や立場がレオポルドの設定になっているようです。
アイゼンハイムの敵として、レオポルドを演じたルーファス・シーウェルが、傲慢で冷酷な人物を完璧に演じているので、ほんとうに嫌な感じの皇太子ですが(笑)
あくまでも設定なだけで、レオポルド=ルドルフと思うのは、ルドルフがお気の毒かなと思います????
→追記:
『幻影師アイゼンハイム』とマイヤーリンク事件について書かれた、千街晶之氏の「原作と映像の交叉光線 ミステリ映像の現在形」を読みました。
千街晶之氏によると、レオポルドの性格には皇太子ルドルフの死後皇太子となったフランツ・フェルディナント大公(サラエヴォ事件で暗殺された皇太子)のイメージが交えてあるかもしれないとのこと。
フランツ・フェルディナント大公が暴力的だったかわかりませんが、攻撃的な性格だったとは言われています。
原作と映像の交叉光線 (ミステリ映像の現在形) (キイ・ライブラリー)
ハプスブルク家の史実とリンクしている部分については、ミュージカル化予定の『イリュージョニスト』の記事にも書いたので、よかったら参考にしてみてください↓
新作ミュージカル『イリュージョニスト』あらすじ&登場人物紹介!
関連動画
The Illusionist – Trailer
by YouTube ムービー
ネタバレなしで感想をいうと・・・
映像がとても綺麗な作品です。
重々しさがあるのに展開がよく、最後まで飽きないテンポのよさ。
結末に驚き、見返してみるとさりげない伏線がちりばめられていることに気づきます。
何を書いてもネタバレになりそうですが、
結末へ向かっていく伏線で、重要と思ったのは、
アイゼンハイムとソフィの子供時代の会話、おとなになり再会したときの会話。
設定はわりとベタです。
でもベタと思わせない幻想的な作りと私たちが見せられる幻影。
ミュージカルの記事でも書いたのですが、
アイゼンハイムの話と思いきや、ウール警部の目線で描かれている部分も大きいので、
一体誰の話なのか?
と考えると、ベタな展開はもしかしたらうウール警部の願望なのかもしれない、なんてことも考えられます。
アイゼンハイム演じるエドワード・ノートン。鮮やかにイリュージョンを行いますが、撮影前にプロのマジシャンから指導を受けたようです。
ド派手というのではなく、神秘的でみるものを引き込むノートン演じるアイゼンハイムに思わず惑わされます。
そしてポール・ジアマッティのウール警部がほんとうに良い味を出しています。大好きウール警部。