池袋サンシャイン劇場で行われている音楽朗読劇テアトルバージョン「レ・ミゼラブル」を観劇してきました。
レミゼといえばミュージカルで大変な人気を誇る作品♬
ミュージカルのレミゼには数えきれないほどの魅力があります。なんといっても良いのは、登場人物に与えられた音楽だと思います。
一幕ラストのワン・デイ・モア
二幕の民衆の歌
想像しただけで、心が高揚します✊
一方、今回の朗読劇では、音楽はバックミュージックとして存在しますが、ミュージカルとは違い登場人物は歌いません。
しかし今回の音楽朗読劇「レ・ミゼラブル」は、ミュージカルと比べて原作により忠実なストーリーと聞き、この作品への理解を少しでも深めたいと思い、観劇してみることにしました。
音楽朗読劇テアトルバージョン「レ・ミゼラブル」は、夏にも行われ、その時は4人の声優さんで物語を紡いだそうですが、今回は1公演につき7名がキャスティングされていました。
2019年12月の音楽朗読劇テアトルバージョン「レ・ミゼラブル」の特徴をあげると、
登場人物は7名
ジャン・ヴァルジャン、ジャヴェール、テナルディエ、マリウス、アンジョルラス、コゼット、フォンティーヌ
他に、声だけの出演としてディーニュの司教がいます。
ミュージカルより原作に近い
原作に沿って作られているので、テナルディエはミュージカルのようなコミカルな面は持たず、極悪非道のクズ野郎に徹しています。
ヴァルジャンの囚人番号は日本版ミュージカルの「24653」ではなく24601。(日本版ミュージカルでは、韻の関係で24653になってます)
音と光の演出
音楽や効果音、そして光を用い、映画や舞台のような迫力のある演出でした。
役に応じた衣装を身に着けた声優さんたち本気で演技している
各役に応じた衣装で、登場人物になりきり臨場感あふれる声で演じていらっしゃいました。
月並みな感想で申し訳ないのですが、声優さんってすごいんだなぁ....とひたすら感動。
ヴァルジャン演じた中澤まさともさんは、「ジャヴェールに指示された看守に押さえつけられている」と見ているこちらに伝わる演技を一人でしていました。
看守は舞台上にいないし見えないんですけど、その看守に腕を回され首または胸を抑えら苦しい状態、というのが「声」でわかる。
なんか最後はミュージカルと同じくらい感動して泣いちゃいました。
レミゼが名作だからというのもありますが、声優さんたちも素晴らしい。
※レミゼの人物表記は、今回の音楽朗読劇テアトルバージョンに沿います。
音楽朗読劇「レ・ミゼラブル」をみて良かった点
今回観劇して初めて気づいたことがありました。
ヴァルジャンとジャヴェールがそれぞれ選択をするシーンは、実は対になっていたこと。
ミュージカルでは気づかなかった💦
まず、ミュージカルでヴァルジャンが「裁き(Who Am I?」で悩むシーン。
ヴァルジャンは司教様に許されて以降、正しい選択をするために何度も葛藤しながら、人生を歩んでいくわけですが、中でもこのシーンは最大の見せ場です。
・ヴァルジャンと勘違いされ捕まってしまった男を救うために、裁判所へ名乗りでるのか
・名乗りでるのをやめて市長の立場を捨てずコゼットを救いに行くのか
どちらを選んでも地獄。しかしヴァルジャンは、裁判所へ名乗りでて、かつコゼットを救いにいきます。
その対になるのが、ジャヴェールの自殺の場面。
ここでジャヴェールは究極の選択に迫られます。
・ヴァルジャンを見逃す罪を犯すか
・ヴァルジャンを捕らえる罪を犯すか
見逃せば、徒刑囚が法よりも高く昇る。
しかし捕らえれば、警察官吏の自分は徒刑場の男よりも低い地位に落ちる
そのどちらもジャヴェールにとっての地獄。
このヴァルジャンとジャヴェールのシーンは、ミュージカルで何度もみているのに対になっていると気づかなかった私は、間抜けなのかもしれませんが💦
ミュージカルの音楽がないことで、今回、はっきりとわかった部分です。というか、今回朗読劇をみて、私はミュージカルをほぼ「音楽」でとらえていることがわかりました。
自分にとってどちらをとっても地獄となる選択をしたヴァルジャンとジャヴェール。
しかしその結末は全く違う。
ジャヴェールがなぜ自殺を選んだのか考えてみると、「許された」経験の有無が関係しているのかと思えました。
司教様に許されたヴァルジャン。
誰にも許されず、誰も許せなかったジャヴェール。
「許し」こそ愛なのかもしれない。
レミゼ音楽朗読劇キャストさん感想
今回のキャストさんたちの簡単な感想を
こちらは今回の座組!
手前、左から中村繪里子さん、高野麻里佳さん。
奥、左から井口さん、永塚拓馬くん、僕、内匠くん、廣瀬大介くん!
廣瀬くんとは明後日も一緒!よろしくお願いします!#朗読劇 #レミゼ pic.twitter.com/iCU5kG01J1— 中澤まさとも (@masatomo_) December 11, 2019
奥 左から、井口祐一さん(テナルディエ)、永塚拓馬さん(マリウス)、中澤まさともさん(ヴァルジャン)、内匠靖明さん(ジャヴェール)、廣瀬大介さん(アンジョルラス)
手前 左から中村繪里子さん(フォンティーヌ)、高野麻里佳さん(コゼット)
ジャン・ヴァルジャン:中澤まさとも(なかざわ まさとも)
私はミュージカル「レ・ミゼラブル」の最初、ジャ・ジャーン・ジャジャジャーンをきくと、「あぁ、ヴァルジャンの苦難に満ちた人生の旅が始まる・・・」と毎回思うのですが、
今回の朗読劇の中澤まさともさんも、ヴァルジャンの生涯を熱をこめて演じられていました。
理不尽な境遇に対する強い怒り~コゼットへ向ける深い愛情。そして愛するがゆえにコゼットと別れた老ヴァルジャンと、ヴァルジャンの心の移り変わりがこちらの気持ちにぐいぐい入ってきて、最後は涙が止まらなくなりました。
あまりに老けたヴァルジャンの声と演技が見事なので、実はお年を召した方なのかと思いきや30代半ば!
本当に素晴らしくて感動しました。
ジャヴェール警部:内匠靖明(たくみ やすあき)
法律と義務を守るためにしか生きていないジャヴェールで、ヴァルジャンへの仕打ちは小憎らしいほど。しかし途中からその不器用すぎる姿に目が離せなくなりました。
表情をそれほど変えないまま舞台に立っていたのに、バリケードでヴァルジャンに救われとまどいをみせる。
そんな自分に疑心暗鬼になりながら今度はヴァルジャンを助ける。
ちょっとした表情の変化なのですが、その「ちょっと」のさじ加減が絶妙でした。
テナルディエ:井口祐一(いぐち ゆういち)
テナルディエとしてしゃべっている時、ずるそうな表情でむかつく(笑)
救いようのない悪い奴です。
2019年のミュージカル「レミゼ」におけるテナルディエは、かつてないほど親近感を覚えた私ですが、今回のテナルディエには関わりたくないなぁ(褒めています)
井口祐一さんはパンフレットで、「このテナルディエ、心底嫌いになったら僕の勝ち!」と観劇するお客さんにゲームを持ち掛けていました。負けました。井口さんの勝ちです^^
マリウス:永塚拓馬(ながつか たくま)
フォトブック。
購入特典も公開されました!自分のなかで、
1枚目は恋人。
2枚目は御曹司(編集さんのイメージで←)
3枚目は役者。
4枚目はプライベート旅行。をイメージして撮っていただきました。 https://t.co/8rKXn3NrSG
— 永塚 拓馬 (@takumanagatsuka) December 10, 2019
初々しさがまぶしいマリウス役の永塚拓馬さん。
コゼットとお似合い!
アンジョルラス:廣瀬大介(ひろせ だいすけ)
朗読劇『レ・ミゼラブル』出演させていただきました。ご来場くださった皆様、ありがとうございました。
素敵なキャスト様、スタッフ様とご一緒させてもらえたことに本当に感謝の気持ちでいっぱいです
アンジョルラス、熱き革命家。
明後日にまた出演させていただきます。#レミゼ #朗読劇 pic.twitter.com/ICDGKllsXP— 廣瀬大介 (@da_sukemaru) December 11, 2019
金髪の美青年で、理想は高いが革命は成功しない・・・見た目が原作のアンジョルラスにとても近い気がします。
熱く燃えるアンジョルラスを熱演されていました。
コゼット:高野麻里佳(こうの まりか)
高野麻里佳さん、コゼット役に加え、ガブローシュ役も兼任されていました。
声の切り替えが見事で、やっぱり声優さんはすごいですね。
ガブローシュのわんぱく少年の声も良かったし、コゼットの可愛い鈴のような声は、ヴァルジャンの喜びだったんだろなと思える愛らしさでした。
フォンティーヌ:中村繪里子(なかむら えりこ)
フォンティーヌは娘のコゼットを預かっているテナルディエにお金を送る為に、歯を抜くのですが、中村繪里子さんは「歯を抜かれた」とわかるしゃべり方をしていて、もごもごするのだけど、セリフとしてしっかり聞こえました。
しつこいですが、声優さんはやっぱりすごい。
フォンティーヌの最期がミュージカル以上に可哀想で、ヴァルジャンがコゼットを大切にする理由がよくわかりました。
今年(2019年)は、夏に4人バージョンでの音楽朗読劇テアトルバージョン「レ・ミゼラブル」を公演したそうです。
4人バージョンの時は、バルジャンとジャヴェールの対話を中心に物語がすすんだとのこと。これも面白そうじゃないですか...
聞きたかった!
嬉しかったのは、パンフに加えて台本も売っていたこと。
ミュージカルでも台本売ってくれるといいのに~
ということで、大変満足できたレミゼの音楽朗読劇でした。
音楽朗読劇『レ・ミゼラブル』
DAY 2今回の7人版は当初、3時間分のセリフ量になりました。そこから1時間分を削りましたが、ユーゴーの綺羅星の如くの言葉に無駄はありません。
その中から選びに選んだ言葉に、出演者が魂を込めて、皆様にお届けできる幸せ。感謝です。。。https://t.co/4frCm5CaJ5 pic.twitter.com/PPlTYmwp5C— Tetsu Taoshita 田尾下哲 (@TetsuTaoshita) December 11, 2019
もともとあった3時間分のセリフも知りたい。
公演情報
2019年12/11(水)~12/15(日)
池袋サンシャイン劇場
キャスト
12/11(水)19:00
ジャン・ヴァルジャン:中澤まさとも
ジャヴェール警部:内匠靖明
テナルディエ:井口祐一
マリウス:永塚拓馬
アンジョルラス:廣瀬大介
コゼット:高野麻里佳
フォンティーヌ:中村繪里子
12/12(木)19:00
ジャン・ヴァルジャン:中島ヨシキ
ジャヴェール警部:笠間 淳
テナルディエ:内匠靖明
マリウス:田所陽向
アンジョルラス:榊原優希
コゼット:青山吉能
フォンティーヌ:椎名へきる
12/13(金)19:00
ジャン・ヴァルジャン:中澤まさとも
ジャヴェール警部:笠間 淳
テナルディエ:保村 真
マリウス:伊東健人
アンジョルラス:廣瀬大介
コゼット:尾崎由香
フォンティーヌ:西村ちなみ
12/14(土)12:30
ジャン・ヴァルジャン:高橋広樹
ジャヴェール警部:神尾晋一郎
テナルディエ:福島 潤
マリウス:伊東健人
アンジョルラス:千葉翔也
コゼット:吉岡茉祐
フォンティーヌ:椎名へきる
12/14(土)18:30
ジャン・ヴァルジャン:駒田 航
ジャヴェール警部:神尾晋一郎
テナルディエ:福島 潤
マリウス:伊東健人
アンジョルラス:千葉翔也
コゼット:上田麗奈
フォンティーヌ:椎名へきる
12/15(日)12:30
ジャン・ヴァルジャン:高橋広樹
ジャヴェール警部:岸尾だいすけ
テナルディエ:福島潤
マリウス:濱野大輝
アンジョルラス:安田陸矢
コゼット:工藤晴香
フォンティーヌ:Lynn
12/15(日)18:30
ジャン・ヴァルジャン:武内駿輔
ジャヴェール警部:石毛翔弥
テナルディエ:岸尾だいすけ
マリウス:濱野大輝
アンジョルラス:安田陸矢
コゼット:高野麻里佳
フォンティーヌ:中村繪里子
声の出演:中尾隆聖
翻案・演出
田尾下 哲
音楽
茂野雅道