シアタークリエにレベッカ観劇へと行ってきました。
プレビュー公演で大塚わたし/保坂ダンヴァース、1/8にクリエで同組み合わせ、そして今回1/19が平野わたし/涼風ダンヴァースの組み合わせでした。
「わたし」役は初演時から、ちーちゃんこと大塚千弘さんしか観ていなかったので、そのイメージが強くついてしまって、他の「わたし」を自分が受け入れられるのか不安でしたが、平野綾ちゃんの「わたし」も良かった。そして涼風ダンヴァース夫人。素晴らしすぎた。圧巻でした。
レベッカ・キャスト感想ー平野、涼風、山口、石川
わたし:平野 綾
すごく丁寧に演技している...!というのが全体を通しての印象でした。
プロローグ、「ゆうべ~夢~をみ~たの~」。マンダレイの出来事を振り返るこの場面では、しっかりした強い声で歌っていた綾ちゃんわたし。ここでは、わりと存在感あり。
でもモンテカルロでの21歳のシーンへと移った途端、良い意味で色が褪せました。
わたしのキャラは金髪なんだけれど、その金髪もキラキラしているようには見えなくて、主人公の自信がないおどおどした雰囲気にガラリと変っていました。
そして、ヴァン・ホッパー夫人(森公美子さん)が呼び止めた、マキシム(山口祐一郎さん)が同席した途端、マキシムと声を交わす前から、突然、ふふふっと下を向いてニコニコしているのを確認!
これってたぶん妄想しているよね?
原作の主人公がまさにそんな感じで、ちょっとした出来事から目の前がバラ色になったり地獄になったり、妄想が止まらないタイプで、非常に原作のわたしに似ているなーと思いました。
綾ちゃんわたしは、とにかく自信がなくて、孤独感もとても強い感じ。
ちーちゃんわたしの場合、マキシムはわたしの純粋さや優しさに惹かれたんだなと思ったのだけれど、綾ちゃんわたしの場合、わたしの孤独感にもマキシムは惹かれたような気がしました。
マキシムが綾ちゃんわたしに対しては、守らなきゃという気持ちが強いような....強い男性がもつ保護欲ではなくて、自分が弱いからこそより弱い女性に惹かれたという表現が正しいかな?
2人でチェスをして、ダンヴァース夫人が現れる前のイチャイチャシーンでは、
わたしの手→マキシムの手→わたしの手・・・とミルフィーユのように重ね合わせていたんですが、これは今までなかったような(笑)
マキシムの告白を聞いたのち、ちーちゃんはガラリと雰囲気が変わるけれど、綾ちゃんは徐々に変るという感じ。
ダンヴァース夫人に対して、「ミセス・ダ・ヴィンターは私よ!」というシーンでは、ちーちゃんは最初からピシャリ!だけれど、綾ちゃんは最初はわりと落ち着いて伝え、話を聞こうとしないダンヴァース夫人に最後に「だって私がダ・ヴィンターなんだから!」と、最後に強く伝えていました。
感情の表し方は、ちーちゃんの方が大きくて、綾ちゃんの方が控えめ。どちらも好きです。
ダンヴァース夫人:涼風真世
この日1番びっくりしたのが、涼風ダンヴァース夫人でした。すごすぎる。。
保坂知寿さんの無表情なダンヴァース夫人も最高でしたが、涼風真世さんの表情豊かなダンヴァース夫人も最高です。
どちらかというとダンヴァース夫人はあまり表情を出さない方が自分は好みと思っていましたが、涼風さんダンヴァース夫人の表情は、無表情の豊かさといえば良いのか、レベッカへの熱い想いを冷たい甲羅で包んでいるみたい。
ご本人の透き通った肌と美しい顔が、より怖さを増している気もします。
主題歌の「レベッカ」をはじめ「誰にも負けない」などのビッグナンバーの歌がすごい迫力で、超歌うまーなダンヴァース夫人です。
そういえば、私が知っている涼風真世さんの歌声の中で、今回が一番、低い音程の曲があるかも。今までに聞いた事がないような低い声で歌っている箇所がありました。
でもそのまま地声で高音も出せるからすごいですよね。
私の記憶にある限り、涼風さんの舞台で声の不調を感じた事がないです。全ての公演をみているわけではないですが、リーバイさんとクンツェさん作品にはよく出ていらっしゃるし、貴婦人の訪問やマディソン郡でもいつも安定して歌われてた記憶があります。
そういえば最初の登場シーンでは、黒の喪服姿のせいで、余計に涼風さんの美しさが際立ってしまって、
「なんでこんなに綺麗なの?」と余計なことを考えてしまいましたがw
カトレアにすがりつくように歌うダンヴァース夫人の「誰にも負けない」に早々に涙が出てしまいました。
ほんとうにレベッカの事を愛していたというのが、舞台登場して早々伝わってくる。。
わたしに、キューピッドを壊された時、破片を拾いながら、「xxxさま」と舞台の中央で口が動いているのをみたのですが、これは「レベッカさま」とつぶやいていたのかな。せつない。
涼風さんがあまりにすごかったので、帰宅してからあと涼風ダンヴァースを何度観られるのか確認してしまいました。
マキシム・ド・ウィンター:山口祐一郎
自分がこの公演を観にいく前に、ツイッターでちょこちょこ声の不調を心配するつぶやきが上がっていて気になっていましたが、とても素晴らしかったです。
「告白」の場面が、途中でレベッカになり、レベッカと会話をしていた当時の自分になり、また今の自分に戻る・・・という細やかな演技が最高でした。
感情がほとばしりながらも、セリフを歌にのせ、これはテクニックなんでしょうねー。
ちなみにですが、前回2回は、ラストのよれよれの老いたマキシムをみて、過去は消し去ったつもりでもその影からは逃れられないという印象でしたが、今回は、わたしと一緒に一歩一歩、幸せが見える光の方向へ歩いていく、というように思えました。
「2人とも幸せになってね」と気持ちのまま、幕が下りていったので、観劇後の幸福感も増し増しでした。
フランク・クロウリー:石川禅
禅さんクローリー。今回の感想ではなくて前回1月8日の感想です。
ロンドンに行ったわたしから真相を聞かされたマキシム。そばで聞いているフランク。
この場面で、1月19日の公演では下手の階段にいる涼風ダンヴァース夫人の表情ばかりみていたので、フランクの表情を見逃しました。
でも8日の公演で、すごくいいなぁと思ったんです。
マキシムとのやり取りで、何でもわかっていながらマキシムに合わせる、というのがよく伝わってきたんですよね。
初演と比べて、今回のフランクは全体的に演技が抑えめなのですが、その理由はここのシーンにつながると思います。
本人もある意味被害者だったから。
初演の時は、フランクはもっと笑いをとっていたんだけれど、一切なくなりましたものね。すごく良いと思います。
最後に
プレビューの時は、最後にみんなが下に投げるお花がぴょこっと立っていたのが、1月からは花びらに。ダンヴァース夫人だけ、自立する花でした。
このシーンはなくて良いと思うけれど、ダンヴァース夫人の投げた花だけ立つというのは意味があるのかもしれないですね。。
カテコで、最初に登場した時は表情が固い涼風ダンヴァース夫人。でもふっと笑顔になってまあるく大きな目がとても可愛らしかったです(´;ω;`) あのような役だから、最後に笑顔をみられると幸せになれます。
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