今年4回目のダンスオブヴァンパイア
良知アルフレート/舞海サラの組み合わせは3回目です。
どの舞台も毎回キャストの皆さんの熱気がすさまじくどれも最高!といえるのですが、今季のマイベストをあげるのであれば、この公演でした。
拍手するのを忘れるほど心を奪われた「神は死んだ」
「神は死んだ(Gott ist tot)」は、山口祐一郎さん演じるクロロック伯爵の最初の曲です。
闇からヴァンパイアの伯爵がすっと現れ静かに歌うこの曲。
今季の山口祐一郎さんは、この曲で苦労されているようにも感じがしました。
でもこの日は、闇夜の空気感と山口祐一郎さんの声がこれ以上ないほどマッチしていて、闇の中に残る伯爵の声の余韻がいつまでも響くようで....
あまりに美しく私が我に返ったのは、伯爵が戻って観客が拍手をし始めた時。拍手するのを忘れていました(υ´Д`)
こちらが当日の私のツイートです。
クロロック伯爵の神は死んだ。儚げで艶やかで、魂を奪われた。。。拍手するの忘れて、周りの拍手で我に返りました。。。
— もすらん@ミュージカル(11月はTDV) (@mosran_mus55) 2015, 11月 20
息をするのを忘れた1幕ラストのフィナーレ
こちらもクロロック伯爵。毎回、山口祐一郎さんのロングトーンが炸裂する箇所ですが、この日は伯爵の声が劇場全体を振動させ、声の粒子が天井から降ってくるよう。
隣に座っていた女性が、「あーすごい、すごい」とうなっていましたが、空間を作ってしまうような伯爵の声が本当に素晴らしかったです。
まるで引っ張られているようなアルフレートの化身
ベットから次々と現れるヴァンパイアと伯爵、サラ、アルフレートの化身たちのダンスが圧巻の夜を感じろ(Carpe noctem)。
見るべき箇所が多く今まで気づかなかったのですが、アルフレートの化身が伯爵の化身にやられて、引きずられるように消えていく場面があります。
この引きずられるような所、アルフレートの化身が一人で移動しているのですが、まるで人や糸に操られているような動きをしているんですよね。
身体の動かし方にポイントがあるとは思うのですが、あまりに自然でとても驚きました。体幹をかなり使っているのかな?
アルフレートの化身を演じているのは加賀谷真聡さん。とても滑らかで美しい動きでした。
イナバウアーが美しい美海サラ
舞羽美海さん演じるサラは、少女らしい純粋な好奇心が身体全体から伝わってくるようなサラで、本当にかわいい。
1番最初に見た時は大人っぽいサラという印象だったのに、だんだん無邪気さを感じるようになってきました。
アルフレートの振り回し方に、女性が本能的に持っている身勝手さがよくでて、思わず笑ってしまいます。
最後、ヴァンパイアとなりアルフレートを噛んだあと反り返るシーンがあるのですが、身体が柔らかくイナバウアーに!
真っ赤なドレスと美しくしなる身体の曲線が美しく思わず息を飲みました。
美海サラは目が大きく華があり、舞台映えのする女優さんですね。
尽きる事のない時間を生きる虚しさを歌う伯爵に涙
今季、評判の高い山口祐一郎さんの「抑えがたい欲望」(Die unstillbare Gier)。
奪いながら生きていく自分の運命を呪い、永遠に満たされない苦悩しかないと歌うクロロック伯爵に、私だけでなく多くの方の涙が流れたようです。
抑えがたい欲望は2006年、2009年の公演でも聞いていましたが、こんなに自分の身体に歌が入るようになったのは2015年の今季から。
山口祐一郎さんらしい圧倒的な声量は相変わらずなのですが、今季は伯爵の孤独がものすごく伝わってくるんですよね。歌い方なのか、山口さんの年齢によるものなのか。
「世界中の全てを理解してもこの私がわからない自分でさえ」と歌う伯爵は、天井にも届くほどのあらゆる本を集めて教授のこうもりの研究も幾度となく読んで、そうやって自分のことを理解しようと生きてきたんだろうな…と抑えがたい欲望を聞きながら駅から家までの道を歩いた
— パー子ー (@tsu_uuu_tsu) 2015, 11月 16
伯爵様の"欲望…"凄い!とか素晴らしい!とか以外に表現力なくて歯がゆいですが(^^;)あのセットと森山さんの踊りと伯爵の佇まいと歌が融合して1つの世界になって瞬き1つできない感じでした。でもきっとまた次回見たとき「前回より凄かった」とつぶやくんだろうな。そんな予感。
— がじら (@gazira23) 2015, 11月 10
TDV、「抑えがたい欲望」の後に鳴る遠雷と教会の鐘の演出が好き。ふと現実に帰ったかのように墓地を離れる伯爵。信心深いクリスチャンは鐘の音を聞いて祈りを捧げるそうだけど、彼の胸に去来するものは何だろう。
— えみちる (@momopunisan) 2015, 11月 8
今回は山口さんの話ばかりになってしまいました...
なんだか山口祐一郎さんの感想ばかりになってしまいましたが、もちろんいつもの通り、他のキャストさんも安定して素晴らしかったです。
今回は比較的前の方の席だったので、墓場で死者が踊るシーンは圧巻でしたし、ダンスオブヴァンパイアは濃いキャラが多いので、それぞれ見応えがありました。
でも、クロロック伯爵演じる山口祐一郎さんの調子が良いと、劇場の空気がガラっと変わる...という事もつくづく感じました。
山口祐一郎さんのクロロック伯爵について、こんなツイートをしている方も...
山口祐一郎の舞台を今迄観なかった後悔と観てしまった後悔がせめぎ合いながら電車に乗る
— Reneco (@tommy_rene) 2015, 11月 22
《TDV》祐さんの声の伸びが以前よりだいぶ良くなってた!特に1幕のフィナーレは圧巻!早いテンポの曲になると若干声の響きが落ちるけど、全体的にすばらしい!圧倒的な存在感!やはり、祐さん以外に伯爵は考えられない pic.twitter.com/lmZlp1EVp4
— 松村 奈緒子 (@naoko_02) 2015, 11月 22
大好きなダンスオブヴァンパイア、残すところあと1回ですが、今回で終わりにしても良いと思えるほど自分にとっては満足度の高い日でした。
キャストの皆さん、いつも本当にありがとう!